高齢者や持病(基礎疾患)をお持ちの方が新型コロナウイルスに感染した場合、症状が軽いうちからの早期相談・早期受診」が重症化を防ぐ最も重要なポイントです。

若い世代では軽症で経過することが多い新型コロナウイルス感染症ですが、65歳以上の高齢者や特定の持病をお持ちの方は、急速に症状が悪化するリスクを抱えています。

本記事では、内科クリニックの医師の視点から、なぜ高齢者や基礎疾患がある方で早期対応が重要なのか、注意すべき症状や受診のタイミング、受診時の流れについて分かりやすく解説します。ご自身やご家族の万が一の備えとしてぜひお役立てください。

なぜ高齢者や基礎疾患のある人は新型コロナで重症化しやすいのか

高齢者や基礎疾患をお持ちの方が新型コロナウイルスに感染した際、特に注意が必要とされる理由は「加齢や持病による免疫機能の低下」と「全身管理の難しさ」にあります。

重症化リスクが高い主な理由

  1. 免疫応答の低下・遅延

    加齢に伴い免疫細胞の働きが低下するため、ウイルスを体内から排除するのに時間がかかります。その結果、ウイルスが肺などに広がりやすくなります。

  2. 持病(基礎疾患)の悪化

    感染による炎症や高熱が全身に負担をかけ、もともとあった持病(糖尿病や心臓病など)のコントロールを著しく乱すことがあります。

  3. 典型的な症状が出にくい(微熱や熱がない場合もある)

    高齢者の場合、発熱反応が鈍いことがあり、「熱がないから大丈夫」と油断している間に肺炎が進行してしまうケースが少なくありません。

そのため、厚生労働省や関係学会のガイドラインにおいても、高齢者や重症化リスク因子を持つ方に対する早期診察・経過観察が強く推奨されています。

特に注意が必要な基礎疾患(持病)一覧

重症化リスクを高める主な基礎疾患・身体的状況には、以下のようなものが挙げられます。ご自身やご家族が当てはまるか確認しておきましょう。

  • 慢性呼吸器疾患:COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、肺気腫など

  • 慢性腎臓病(CKD):人工透析を受けている方を含む

  • 糖尿病:血糖コントロールが不十分な場合、特に免疫力が低下します

  • 心血管疾患:高血圧、心不全、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)

  • 脂質異常症・肥満:BMI 30以上の肥満は重症化リスクの一つとされています

  • 免疫機能の低下:抗がん剤治療中の方、ステロイドや免疫抑制剤を服用中の方

  • 脳神経疾患:脳卒中後遺症、認知症など(誤嚥性肺炎を併発しやすいため)

これらの持病がある方は、検査で陽性と判明した際や発熱・体調不良を感じた段階で、かかりつけの内科や近隣のクリニックへ相談することが大切です。

高齢者のコロナ感染で見逃してはいけない初期症状

高齢者の新型コロナ感染では、若い方によく見られる「高熱」「激しい喉の痛み」以外の症状が前面に出ることがあります。以下のような「いつもと違う変化」に注意してください。

見逃しやすいサイン・症状

  • なんとなく元気がない、活気がない

  • 食欲がない、水分が摂れていない

  • ぼーっとしている、会話がかみ合わない(譫妄・意識の混濁)

  • ふらつく、立ち上がれない、転倒が増えた

  • 息切れがする、呼吸が浅く速い

  • 微熱(37度台前半)が続いている

「熱がないからコロナではないだろう」と自己判断せず、普段と比べて様子がおかしいと感じた場合は、早めに内科医療機関への連絡を検討してください。

病院を受診するタイミングと受診方法

受診・相談の適切なタイミング
  • 検査で陽性反応が出たとき(市販の抗原検査キット含む)

  • 発熱や咳、強い倦怠感などの症状が出始めたとき

  • 持病をお持ちで、風邪症状が見られるとき

特に高齢者や基礎疾患がある方は、発症から数日以内に適切な診断と経過観察を受けることが推奨されます。

受診時の注意点と手順
  1. 事前にクリニックへ電話連絡をする

    院内感染防止のため、発熱外来や別室での対応を行っている医療機関が多くあります。直接来院せず、まずは電話で症状と「高齢であること」「持病があること」を伝えましょう。

  2. お薬手帳を用意する

    普段飲んでいる持病の薬(高血圧、糖尿病、抗凝固薬など)との飲み合わせを確認するため、お薬手帳の提示が不可欠です。

  3. 移動手段の確保

    体力が低下している場合は、無理をして徒歩で来院せず、ご家族の送迎やタクシーなどを利用し、感染対策を行った上で移動してください。

検査と治療の流れ

内科クリニックを受診した場合の基本的な診療手順は以下の通りです。

① 診察と検査

問診、バイタルサイン(体温・血圧・脈拍・血中酸素飽和度 SpO2)の測定を行います。必要に応じて、鼻腔ぬぐい液を用いた抗原定性検査PCR検査を実施し、迅速に診断します。

② 重症度の評価

血中酸素飽和度(SpO2)の数値や呼吸状態を確認し、自宅療養が可能か、あるいは入院治療が必要な状態かを医師が総合的に判断します。

③ 治療薬・処方薬の検討

年齢や重症化リスク、現在の症状、併用しているお薬を考慮し、症状を和らげる対症療法薬(解熱鎮痛剤や鎮咳薬など)や、医師が必要と判断した場合は抗ウイルス薬の処方を検討します。

自宅療養中に気をつけるべきポイント

診断後、自宅で療養する際には以下の点に注意して過ごしましょう。

  1. パルスオキシメーターでの酸素飽和度(SpO2)チェック

    可能であれば毎日測定してください。SpO2が95%以下になった場合や、息苦しさが強まった場合は、速やかに医療機関や相談窓口へ連絡してください。

  2. こまめな水分・栄養補給

    発熱や発汗により脱水症状を起こしやすくなります。経口補水液やスポーツドリンクなどを少しずつ回数を分けて摂取しましょう。

  3. 持病の薬を勝手に中断しない

    コロナに感染したからといって、自己判断で普段の持病の薬(降圧薬や血糖降下薬など)を止めるのは危険です。必ず医師の指示に従ってください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 高齢者でも熱が出ないことはありますか?

A. はい、あります。

高齢者の方は免疫応答の変化により、感染しても明確な発熱(37.5度以上)が見られないケースがあります。「いつもより食欲がない」「ぐったりしている」といった普段と異なる状態も感染のサインとなり得ます。

Q2. 持病の薬と一緒にコロナの薬を飲んでも大丈夫ですか?

A. 飲み合わせの確認が必要です。

新型コロナの治療薬の中には、併用が禁止されているお薬や注意が必要なお薬があります。診察時には必ず「お薬手帳」を持参し、服用中のお薬を医師・薬剤師へ正確にお伝えください。

Q3. ワクチンを接種していても受診は必要ですか?

A. 重症化リスクが高い方は受診をご検討ください。

ワクチン接種により重症化率は低下しますが、感染可能性や重症化リスクが完全にゼロになるわけではありません。基礎疾患をお持ちの方や高齢の方は、発症後に体調変化を起こすことがあるため、早めの医療機関への相談をお勧めします。

まとめ:早めの相談がご自身とご家族の安心につながります

高齢者や基礎疾患(持病)をお持ちの方が新型コロナウイルスに感染した際は、「症状が軽いうちからの早期相談・早期受診」が何より大切です。

「単なる風邪かもしれない」「熱がないから様子を見よう」と判断を遅らせてしまうと、知らないうちに症状が進行してしまうことがあります。少しでも体調に不安を感じたときや、ご家族の様子がいつもと違うと感じた際は、遠慮なくかかりつけの内科クリニックや近隣の医療機関にご相談ください。

当院におきましても、患者様お一人おひとりの持病や体調に合わせた診療を行っております。心配な症状がございましたら、まずは一度お電話にてお気軽にお問い合わせください。