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「初期はほぼ無症状」健診で血糖値を指摘されたら知っておくべき糖尿病のリスクとサイン

[2026.08.28]

「健康診断で血糖値が高いと指摘されたけれど、体に何の違和感もないから大丈夫」 そう考えて、再検査や内科受診を先送りにしていないでしょうか。

結論から申し上げますと、糖尿病の初期段階では、自覚症状がほとんどありません。

糖尿病は別名「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれます。体に痛みが走ったり、日常生活に支障をきたすような強い症状が現れたりした時には、すでに病状が一定程度進行しているケースが少なくありません。

そのため、「症状がないこと」は「健康であること」の証明にはならないのです。健診で高血糖を指摘された方や、生活習慣に不安がある方は、症状の有無にかかわらず早い段階で内科クリニックを受診することが重要です。

なぜ糖尿病の初期症状は「気づかない(無症状)」のか?

糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。通常、膵臓(すいぞう)から分泌される「インスリン」というホルモンが血糖値を一定に保ちますが、その働きが低下したり分泌量が減ったりすることで発症します。

では、なぜ初期には症状が現れにくいのでしょうか。理由は大きく3つあります。

血糖値の上昇が「緩やか」で体が慣れてしまう

暴飲暴食や運動不足、遺伝的要因などによって高血糖状態になる際、多くの場合、血糖値は数ヶ月〜数年かけて少しずつ上昇します。急激な変化ではないため、体が徐々に高血糖状態に順応してしまい、不調として認識されにくくなります。

初期段階では細胞が重大なダメージを受けない

血液中の糖分が高くても、初期段階では生命維持に必要な主要器官がただちに機能停止することはありません。痛みを感じる神経や目、腎臓の微細な血管が傷つき、機能低下として表面化するまでには時間がかかります。

体に「痛みのセンサー」がない

高血糖そのものが痛みを引き起こすことはありません。たとえば、高血圧や高コレステロール血症と同様に、「血管や代謝の異常」は痛みを伴わないため、自覚症状として感知しにくいのです。

見逃してはいけない!糖尿病の「わずかなサイン」チェックリスト

初期は無症状であることが多い糖尿病ですが、血糖値がかなり高い状態が続くと、体は不要な糖を排出しようとしてサインを出し始めます。以下のような変化に心当たりがないかチェックしてみましょう。

  • 喉が非常に渇く・水分を大量に飲む 高血糖になると、血液の浸透圧が上がり、脳が「水分を補給して血液を薄めろ」と指令を出します。そのため、いくら水を飲んでも喉の渇きが収まらなくなります。

  • 尿の回数や量が増える(多尿・頻尿) 腎臓が血液中のあふれた糖を尿と一緒に排出設定に切り替えます。糖と一緒に水分も排出されるため、尿の量や回数が急増し、夜間に何度もトイレ起きるようになります。

  • しっかりと食べているのに体重が減る インスリンがうまく働かないと、食事から摂取した糖をエネルギーとして細胞に取り込めなくなります。すると体は、代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作ろうとするため、食欲があって食べているのに体重が減少します。

  • 疲れやすい・体がだるい エネルギー源であるブドウ糖が細胞に行き渡らないため、慢性的なエネルギー不足に陥り、全身の倦怠感や疲労感が抜けない状態になります。

  • 目がかすむ・手足がピリピリとしびれる 高血糖により末梢神経や目の網膜の微細な血管がダメージを受け始めると、手足の違和感や視界のかすみが生じることがあります。

これらの症状が複数当てはまる場合、すでに糖尿病が一定以上進行している可能性があります。早急に内科での血液検査をお勧めします。

糖尿病を放置するリスク|「三大合併症」と「大血管障害」

「症状がないから」と高血糖を放置し続けると、全身の血管が徐々に破壊されていきます。糖尿病の真の恐ろしさは、この「合併症」にあります。

慢性合併症(しめじ と えのき)

糖尿病の合併症は、覚え方として「しめじ(細小血管障害)」と「えのき(大血管障害)」が有名です。

1. 細い血管の障害(しめじ)

  • し:糖尿病性神経障害 最も早く現れる合併症です。手足の末梢神経が侵され、しびれ、冷感、痛みが現れます。進行すると痛覚が麻痺し、足の怪我や火傷に気づかず、足の組織が壊死(えし)することもあります。

  • め:糖尿病網膜症 目の奥にある網膜の血管が損傷し、視力が低下します。最悪の場合、失明に至る原因となります。日本人の成人の失明原因の上位を占めています。

  • じ:糖尿病性腎症 老廃物をろ過する腎臓の機能が低下します。進行すると自力で老廃物を排出できなくなり、人工人工透析(血液透析)が必要となります。

2. 広い血管の障害(えのき)

  • え:閉塞性動脈硬化症(足の血管がつまる)

  • の:脳卒中(脳梗塞・脳出血)

  • き:心筋梗塞・狭心症

高血糖は血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を加速させます。これにより、脳や心臓の太い血管がつまる重大な病気を引き起こし、命に関わる事態を招きます。

血糖値が高いと言われたら?内科クリニックで行う検査と診断基準

健康診断の結果などで「空腹時血糖値」や「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の項目を確認したことはありますか?

内科クリニックでは、以下の数値を基準に糖尿病の評価や診断を行います。

検査項目

正常域

糖尿病型(判定基準)

空腹時血糖値

100mg/dL 未満

126mg/dL 以上

随時血糖値(食後など)

-

200mg/dL 以上

HbA1c(NGSP値)

5.6% 未満

6.5% 以上

※HbA1cとは、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖状態を反映する指標です。一時的な食事の影響を受けにくいため、糖尿病の診断や治療効果の判定において非常に重要な検査項目です

健診結果で「要再検査」「要精密検査」と判定された場合や、HbA1cが6.0〜6.4%程度の「糖尿病予備群(境界型)」と指摘された段階から、早期介入を行うことが将来の発症・重症化予防につながります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 喉が渇くのは、単なる運動や暑さのせいでしょうか?

A. 一時的な喉の渇きであれば問題ないことが多いですが、継続的な場合は注意が必要です。 特別な運動や猛暑環境にないにもかかわらず、水や茶を毎日数リットル飲んでしまう、夜間に喉が渇いて目が覚めるような場合は、高血糖に伴う症状の可能性があります。

Q2. 健診で「高血糖」を指摘されましたが、無症状なら様子見で良いですか?

A. 様子見はせず、速やかに内科を受診してください。 本文でお伝えした通り、糖尿病は無症状のまま進行します。症状が出ないからと放置すると、気づいたときには合併症が進行している恐れがあります。受診により現在の膵臓の働きや全身の血管状態を正しく評価することが大切です。

Q3. 早期発見できれば、食事や運動で改善できますか?

A. 早期であれば、生活習慣の改善によって正常な状態近くまでコントロールできる可能性が高まります。 初期段階で発見できれば、内服薬を使わずに食事療法と運動療法のみで血糖値を適正に保てる場合も多くあります。また、薬物療法が必要な場合でも、早期治療によって膵臓への負担を減らし、将来的に薬を減量・休薬できるケースもあります。

まとめ|「症状がないから大丈夫」と思わず内科へご相談を

糖尿病の初期症状における最大のポイントは、「無症状であること自体が初期症状の特徴である」という点です。

  • 喉が渇く・尿が増える・急に体重が減るといった症状が出たときは、すでに進行しているサインです。

  • 健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されたら、無症状であっても放置しないことが重要です。

  • 早期発見・早期治療を行えば、健康な人と変わらない生活品質(QOL)と寿命を維持することが可能です。

当院では、血液検査や生活習慣指導を含め、お一人おひとりの状態に合わせた丁寧な診察を行っております。「検査結果の見方がわからない」「少し気になる症状がある」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

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