腹痛
「キリキリ? ズーン? 痛みの場所が診断の鍵」――胃腸・肝胆膵・泌尿器・婦人科疾患など腹腔内トラブルを知らせる痛み。部位と性質で緊急度が大きく変わる。
腹痛症状の分類
| 痛む部位 | 主な臓器・疾患 | 典型的な痛み方 |
|---|---|---|
| 右上腹部 | 胆のう炎・胆石症・肝疾患 | 食後の差し込む痛み、背部放散 |
| 左上腹部 | 胃潰瘍・急性膵炎 | 空腹時のシクシク/飲酒後の激痛 |
| 右下腹部 | 虫垂炎・腸炎 | 初期は胃痛、数時間で移動 |
| 左下腹部 | 憩室炎・便秘 | 張る鈍痛、排便で軽減 |
| 全腹部 | 機能性ディスペプシア・IBS | ストレスで変動、ガス膨満 |
- 胆のう炎/胆石症:脂っこい食後 1–2 時間で右肩まで響く痛み。
- 胃潰瘍:みぞおちがジリジリ。コーヒー・アルコールで悪化。
- 虫垂炎:へそ周囲の鈍痛→右下腹部へ。発熱・吐き気が遅れて出現。
- 大腸憩室炎:左下腹部に突き刺す痛み+ 38℃前後の発熱。
- IBS:下痢型は食後 30 分以内にキリキリ、便秘型は張る痛み。
痛みの性質(差し込む/鈍い/締め付け)、持続時間、随伴症状(嘔吐・発熱・出血)が診断のカギ。歩けない激痛=外科系、張る程度の繰り返し=機能性の可能性が高い。
こんな症状があったら注意!受診のサイン 5 選
- 脂汗が出るほどの激痛で歩けない
- 38℃以上の発熱+右下腹部痛
- 黒色便・吐血・鮮血便を認めた
- 嘔吐が 24 時間止まらない/脱水
- 妊娠の可能性があり下腹部が痛む
セルフチェックリスト(○が 2 つ以上で受診を推奨)
□ 痛みが 6 時間以上続く
□ 排便・排ガスで軽快しない
□ 食後や夜間だけ繰り返す
□ 市販薬で 2 回以上対処しても改善なし
□ 家族に胆石・潰瘍歴がある
自宅でできるセルフケア
- 経口補水液 1.5〜2 L/日で脱水を防ぐ
- 低脂肪・低刺激食:おかゆ・うどん・バナナ
- 腹部を温める温罨法(高熱・激痛時は冷却)
- 軽いストレッチやウォーキングで腸蠕動を促進
- カフェイン・炭酸・アルコールを最小限に
症状注意事項
- 鎮痛薬で痛みが隠れると診断遅延。服用は受診前1回まで。
- 便秘時は刺激性下剤の連用を避け、酸化マグネシウムなど負担の少ない薬へ。
- 妊娠可能年齢の女性は婦人科疾患も同時に鑑別が必要。
受診前にメモしておくこと5選
- 痛みが始まった日時と場所
- 強さ(0〜10)と持続時間
- 食事内容・ストレス・月経など誘因
- 排便・嘔吐・発熱の有無と回数
- 使用した市販薬と効果
診察の流れ
- WEB 予約&事前問診
- 触診・聴診:圧痛点・腸雑音
- バイタル測定:血圧・脈・体温
- 血液検査(WBC感染・CRP炎症)10 分
- 画像検査:腹部エコー/X 線 → 必要に応じ 内視鏡やCT
- 治療開始:薬物療法+食事指導+再診計画
当院でできる検査
| 検査 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 腹部エコー(予約制) | 胆石・胆嚢炎・腎結石 | 当日結果 |
| 血液・CRP | 感染・炎症・貧血 | 10分 |
| その他血液検査 | 腎臓・肝臓・膵臓・甲状腺機能など | 結果翌日(土日の場合は月曜) |
| 腹部 X 線 | ガス像・腸閉塞 | 即時 |
| 上部内視鏡 | 潰瘍・腫瘍鑑別 | 予約制 |
治療方法
- 薬物療法:制酸剤・胃粘膜保護・抗菌薬・鎮痙薬・便秘薬
- 点滴補液:嘔吐・脱水時に電解質を補正
- 外科紹介:消化管出血・胆道結石・虫垂炎・腸閉塞・胆石症で手術適応時
- 生活指導:低 FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類およびポリオール)、脂質制限、規則正しい排便習慣
腹痛Q&A
お腹が鳴るのは病気のサイン?
空腹時の腸蠕動音は正常。痛み・下痢を伴えば IBS の可能性。
便秘薬を常用しても大丈夫?
刺激性下剤の長期使用は NG。酸化 Mg や食物繊維に切り替えを。
胃カメラはいつ必要?
みぞおち痛が 2 週間以上続く、黒色便、体重減少のいずれかで推奨。
「腹痛 何科?」外科と内科どちら?
激痛・出血は外科/救急、慢性・軽度は内科で広く検査を。
市販薬で様子見できる腹痛は?
食後の一過性軽度鈍痛のみ。ただし 48 時間以内改善しなければ受診。
夜間だけの腹痛はストレス?
IBS や潰瘍のほか胆石症も夜間痛。背部痛や吐き気があれば要受診。
再発防止策
- 食事時間を固定し就寝3時間前までに夕食
- 低脂質・高繊維+水 1.5 L/日
- 週2回 30 分の有酸素運動で腸蠕動促進
- ストレス時は深呼吸+軽いストレッチ
- 腹痛日記でトリガーと対策を“見える化”
まとめ
腹痛は「よくある症状」ながら原因は多岐にわたり、赤信号を見逃すと命に関わることもあります。痛む場所・タイミング・強さを観察し、今回の受診サインに該当したら自己判断せず受診を。
